1.研究背景
蒟蒻は96~97%が水分であり、水分を除くと主成分はグルコマンナンという多糖類で蒟蒻マンナンとも呼ばれています。
グルコマンナンはグルコースとマンノースがほぼ1:1.6の割合で、β-1,4結合した繊維状化合物で、人の消化管ではほとんど消化されない食物繊維の一種です。便通改善作用の他、糖やコレステロールなどの吸収抑制効果が報告されており、機能性に富んだ素材として注目されています。
本試験では、研いだ白米に混ぜて炊くつぶ状蒟蒻を使用し、蒟蒻入り白米の摂取における血糖値上昇を白米と比較して確認しました。
2.方法
(1)被験者
試験対象者は特定疾患を持たない成人男女で、空腹時血糖値が高め、または境界域以上(境界域含む)の方。
研究内容、方法について説明を行い、内容について理解・文書同意が得られた、男性8名、女性2名の10名(平均年齢52.2±2.2歳)としました。
(2)試験食
各試験者には試験食(蒟蒻入り白米)と対照食(白米)をそれぞれ摂取して頂きました。
摂取は200mlのミネラルウォーターと共に約5分間としました。
(3)試験方法
各被験者にそれぞれの試験食を摂取して頂き、採血を行いました。 採血は試験食の摂取前、摂取後30分、60分、90分、120分の5回行い、血糖値を測定しました。
また、合わせて味・食感等に関するアンケートも行いました。
3.結果
(1)血糖値の推移
【血糖値が境界域の被験者】
白米:負荷後60分を最大値として上昇、負荷後120分に低下
蒟蒻入り白米:負荷後60分を最大値として上昇、負荷後120分に低下
有意差は無いものの、白米と蒟蒻入り白米の血糖値上昇を比較すると、蒟蒻入り白米の方が若干抑えられています。
【代表的な血糖値推移】
被験者によっては蒟蒻入り白米を摂取する事で、有効に血糖値上昇を抑えた例も見られました。
(2)アンケート結果
どちらの試験食か伝えずに、『美味しさ』、『食感』、『普通の白米との比較』、『また食べたいか』の4項目についてそれぞれ5段階で評価して頂きました。
1. 食べてみていかがでしたか
2. 食感はどうですか
3. 普通の白米と比べて違和感はありますか
4. また食べたいと思いますか
5. 蒟蒻入り白米を食べた感想
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・蒟蒻がほとんど感じられず、普通のご飯と同じ。
・食感が良く食べやすかった。
・蒟蒻が入っていても自然の甘味があり美味しい。
・甘味が感じられて美味しかった。
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・甘味があってお米の味が損なわれていなかった。
・ご飯と上手く馴染んでいた。
・ご飯がふっくらしていて美味しかった。
4.結論・考察
白米摂取時より、蒟蒻入り白米の方が若干血糖値の上昇が緩やかになる傾向が認められました。
また、被験者によっては血糖値の上昇が抑制された例も見られました。 味や食感についてもアンケートを行いましたが、白米とほぼ変わらない評価が得られました。
蒟蒻入り白米であっても、特に違和感などはなく、通常の白米と同様に利用できることが分かりました。