研究開発

Vol.4
グルコサミン摂取による膝関節痛への効果検証試験

1.研究背景

膝関節痛とは加齢などにより膝の関節軟骨がすり減ることによって関節痛、及び運動障害を生じる疾患です。
グルコサミンはヒアルロン酸などを構成するアミノ糖で動物の皮膚や軟骨、甲骨類の殻に含まれています。「関節の動きを滑らかにする」「関節の痛みを改善する」と言われており、骨関節炎の緩和を期待され、サプリメントや健康食品として摂取されている成分です。
本試験ではグルコサミン及びコンドロイチン硫酸配合サプリメントの摂取による膝関節痛の軽減効果をヒト臨床試験によって検証しました。

2.方法

(1)被験者

被験者は特定疾患を持たない男女で、膝の痛みを自覚しており、かつ治療を受けていない方で、試験内容等について十分説明を行い、文書で同意が得られた30名としました。

(2)試験食

被験者は無作為に3群に振り分けました。被験品群はグルコサミン+コンドロイチン含有サプリメントを、対照品群はグルコサミン含有サプリメントを、プラセボ群はグルコサミンを含まないプラセボを摂取して頂きました。

(3)試験方法

試験期間は6週間とし、試験食を1日2回(朝・夕食後)に分けて摂取して頂きました。
摂取前後で疾患特異的QOL(日本版変形性膝関節症患者昨日評価表:JKOM)を用いて膝関節痛を評価しました。
内科的検査、身体測定、理学検査、尿検査、末梢血検査も行い、安全性についても確認しました。また、被験者本人に試験日誌にて毎日の生活状況について記録して貰いました。

3.結果

(1)JKOM得点※

KOM得点は値が高い程症状が悪いことを示します。
JKOM得点
使用前後で比較して被験品群では平均値として40.3%減少、対照品群において34.4%減少しました。しかしながらプラセボ群でも23.4%減少しました。

(2)JKOM得点※ 変化量

摂取前後のJKOM得点の変化量をグラフにしました。値が高くなる程症状が改善したことを示します。
JKOM得点 変化量
各群とも摂取後に症状が改善されています。プラセボ群と比較して被験品群の変化量は69.0%大きく、有意に改善する傾向が認められました。
一方で対照品群では48.9%大きい値が得られましたが、統計的な有意差はありませんでした。
※JKOM得点は、対数変換後の得点を対象として分析

(3)安全性

基礎身体検査・理学検査、血液学検査・生化学検査、尿検査、内科的検査を行いましたが試験食の影響を受けたと考えられる変化は認められませんでした。

4.結論・考察

(1)JKOM得点

JKOMは膝関節痛の国際的な評価表であるWOMACを元に日本人の生活様式に合わせて開発された評価表で、日本における膝関節痛患者の治療・介入で良く用いられている方法です。
摂取後のJKOM得点は被験品群において40.3%、対照品群において34.4%、プラセボ群においては23.4%、それぞれ低下しました。
JKOM得点の低下量、すなわち膝痛の改善量は被験品群ではプラセボとの間に有意な傾向が認められましたが、対照品群では認められませんでした。
このことから、膝痛の改善効果は被験品群の方が対照品群よりも大きい可能性が示唆されています。

(2)安全性

身体検査、血液検査等の結果については全ての群において摂取前後で大きな変動はありませんでした。
内科的検査も含め、専門医からも異常の認められる被験者の指摘はなく、被験品の安全性が示されました。
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