研究開発

Vol.3
グルコマンナン顆粒のダイエット食品としての利用

1.研究背景

グルコマンナンはコンニャクの主成分として多く含まれる食物繊維の一種です。
人の消化酵素では消化できず、また胃の中で水を吸って何十倍にも膨れるためダイエット食品とされています。
さらに、糖やコレステロールなどの吸収抑制効果を持つことが報告されており、メタボリック症候群における血糖値やコレステロール・中性脂肪値の改善などにも効果があると多くの研究で実証されています。
本試験では、簡単に摂取出来るグルコマンナンの顆粒(以下マンナン顆粒)を開発し、食事前の摂取による食事量への影響、コレステロール値や便秘の改善効果など、ダイエット食品としての利用について検討しました。

2.方法

(1)被験者

被験者は、特定疾患を持たない成人男女で、BMI値が25以上かつコレステロール値が高めの方で、研究内容、方法について十分な説明を行い、被験者本人による文書同意が得られた男性6名、女性8名の14名としました。

(2)試験食

被験者はマンナン顆粒を1g摂取する群と1.5g摂取する群に無作為に振り分け、原則として1日2回、昼食と夕食の1時間前に100~200mlの水と共に摂取して頂きました。

(3)試験方法

試験期間は4週間とし、試験食を毎日摂取して頂きました。
摂取前、摂取2週目及び摂取4週目の3回、総コレステロール、LDL-コレステロール、体重、体脂肪率及びウエストサイズについて検査・測定を行いました。
その際、医師の問診も行い、安全性についても確認しました。 また、被験者本人に生活日誌にて毎日の生活の状況について記録して貰いました。

(4)血液生化学検査、医師の問診及び診察

食品としての安全性確認として、生化学検査及び血液学検査、尿検査、医師の問診及び診察を行いました。

3.結果

(1)腹部の感覚(膨満感)

腹部の膨満感
1回目・2回目の摂取ともに、摂取1時間後の膨満感は弱いという結果が得られました。
しかしながら、1g摂取群と1.5g摂取群を比較したところ、摂取1週目の1回目の摂取と摂取4週目の2回目の摂取において1.5g摂取群の方が膨満感が強いという結果が得られました(統計的に有意)。

(2)食事の量

朝食量
1g摂取群では、いずれの食事においても摂取前とほぼ同じでした。
一方、1.5g摂取群では特に朝食量において、摂取前より摂取1週目、2週目及び4週目で減少しました(統計的に有意)。
更に1g摂取群との比較においても摂取2週目、4週目では1.5g摂取群の方が少ないという結果が得られました(統計的に有意)。
しかし、その他の食事量に関しては、大きな食事量の減少効果は認められませんでした。

(3)排便量・便性状・排便回数

排便量
排便量については、1g摂取群では摂取前と変化ありませんでしたが、1.5g摂取群では、摂取前に比べて摂取3週目、摂取4週目で排便量が増加しました(統計的に有意)。
顆粒1gと1.5gの排便量
便性状については両群とも摂取前と変化ありませんでした。
しかしながら、1.5g摂取群では1g摂取群よりも摂取4週目における「軟らかい」と「やや軟らかい」の比率が統計的に有意に高いという結果が得られました。
排便回数については1g摂取群では、摂取前と変化はありませんでしたが、1.5g摂取群では摂取前に比べて摂取4週目で増加しました(統計的に有意)。
排便回数
両群の比較においては、摂取2週目から4週目で1.5g摂取群の方が高い結果となりました(統計的に有意)。

(4)臨床検査値

マンナン顆粒の脂質吸収抑制効果から想定されたコレステロールの低下作用に関しては、総コレステロールの平均値においても、LDL-コレステロールの平均値においても減少傾向が見られましたが、統計的に有意な変動はありませんでした。
総コレステロール LDL-コレステロール
また、その他生化学検査、血液学検査、尿検査を行いましたが、大きな変化や摂取量による差は見られませんでした。

(5)身体測定

体重、BMI、体脂肪、ウエスト径、血圧・脈拍についても検査しましたが、大きな変化や摂取量による差は見られませんでした。

(6)被験者の感想(効果・便通・継続性)

効果については「効いた」及び「効いたような気がする」との回答比率は1g摂取群で約40%、1.5g摂取群で約60%であり、摂取量による差は見られませんでした。
効果の実感は約50%という結果になりました。
便通については「量も回数も増えた」、「量が増えた」及び「回数が増えた」との回答比率は1g摂取群で約70%、1.5g摂取群で約30%と統計的に有意な差はありませんでしたが、1g摂取群の方が量もしくは回数が増す効果を実感できるという結果が得られました。
一方、1.5g摂取群では「軟便になった」とする回答が見られました。 継続性については「続けてできる」との回答比率は1g摂取群で約90%、1.5g摂取群で約70%であり、摂取量による差は見られませんでした。

(7)安全性

試験期間中、1g摂取群の参加者1名が、継続してガスが溜まるという主訴がありました。
しかしながら、その他の参加者において観察された事例はなく、被験者個人の体質によるものと考えられます。

4.結論・考察

(1)腹部膨満感による摂食量の制限

マンナン顆粒1.5g摂取で膨満感を感じるとする結果が得られましたが、食事量の大きな減少は確認できませんでした。
ダイエット効果を得るためには、用量の変更もしくは摂取のタイミングや水分摂取量等を検討するとともに、マンナン顆粒摂取による膨満感から、食事量をコントロールするといったダイエットの意識づけを行うことが必要と考えられます。

(2)脂質代謝改善

総コレステロール値、LDL-コレステロール値に関しては数値の低下は確認されましたが、統計的に有意な減少としては確認できませんでした。
しかしながら、被験者個人においては、異常域から正常域へ低下した被験者も多く、脂質代謝改善効果として有効な症例も見られました。
効果については個人の脂質代謝の状態に影響されるところが大きいと考えられ、コレステロールの摂取制限が必要な場合は十分に効果が期待できるものと推測されます。

(3)便通改善

マンナン顆粒1.5g群において、排便量及び排便回数の統計的に有意な増加が観察され、便通改善効果として有効性が示されました。

(4)安全性

摂取量に関わらずバイタルサイン、臨床検査値、そして医師問診結果において、1例のガスが溜まる主訴を除いて異常は観察されておらず、安全であることが示されました。
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